社会福祉法人 美徳杜 理事長 長野 真弓

社会福祉法人美徳杜に
かける思い



社会福祉法人美徳杜の前身である「美徳杜」は、宿泊型フリースクールとして平成22年から約6年間、のべ300人以上の不登校と呼ばれる児童をはじめ、アスペルガ一、ADHD と呼ばれる発達障害や、知的障害、精神障害のある方々に対して食事療法を行い、利用される方への全人的回復に励んできました。
その中には、たった1ヶ月で、体質や行動を劇的に改善してしまうケースもあり、その奇跡のような変化は、地域の方々をも驚かせました。 ただ、美徳杜は補助金の無い施設なので、滞在費が高く、最低でも月15万円くらいの利用料が必要でした。より多くの方々に安心してご利用いただきたい。そして、障害があり、体や心の病に苦しむ方々をなんとか無料あるいは低料金でお預かりできる仕組みを創りあげたい、このような思いから、美徳杜を社会福祉法人化することにいたしました。
平成30年3月、山梨県での審査を通過し社会福祉法人の認可をいただけることとなりました。






インタビュー

今までの活動・経歴について


20歳で保育士資格を取って、60才までの40年間保育に携わっております。
23年前に自分で60名くらいの中規模の保育園を設立して、今は、その保育園の運営を行なっております。



食育に興味を持ったきっかけ


私には娘が娘2人いるのですが、下の娘が小学校4年生の時に不登校になり、そして発達障害の診断を受けました。
ADHD(注意欠如・多動症)ということで、症状としては、「5分間」席に座っていることができず、授業中でも立ち歩いてしまい、暴言や暴力、そして酷いアトピー性皮膚炎になっていました。
また、発達支援児童として、小学4年生で1年生の問題も解けない程に、学力も低下していました。
私も保育の仕事をしておりましたので、生まれた時は健常だったのに、なぜだんだんおかしくなってしまったのかって疑問に思い、娘の育ちの環境を色々と学んできました。
日本では大沢商会で有名な桜沢先生や、様々な食育の先生方に学び、海外ではデンマーク・ロシア・フィンランド・アメリカなどでも、発達障害の方々の食事について学びました。



なぜ、そこまで学んだのか?


なんとかしなければ、うちの娘は、そのまま障害児クラスに入ることになります。
症状を抑えるための薬の副作用で朦朧となっている、障害児クラスの生徒さんたちの姿を見た時に、最後まで諦めたくない、やるだけのことをやった上で、娘の障害を受け入れたいと思いました。



具体的にどんな対策を行なったのか?


そこで、うちの家庭環境をガラッと変えることにしました。
出来るだけ不自然なもの、テレビゲームや、電子レンジなど、そういうものを無くして、出来るだけナチュラルなスタイルに家庭環境を戻しました。
また、食事も和食で、出来るだけナチュラルなものに変更しました。



3ヶ月で一旦の症状が治まる。


うちの娘の場合は、3ヶ月で近所の人もびっくするように一旦の症状が治まりました。
中学になるころには、学力も回復して、英検準2級がとれるくらいに。
元々は好きな様に食べたいものを食べさせていたんですけれど、食育を気をつけたところ、学力や、暴言暴力といった人格、行動癖さえも改善されました。



近所からの相談が殺到するように。


元より保育園にいましたから、子育て相談をするのは当然の仕事で、受け付けていました。
その噂を聞いて、ご近所の方から色々相談されるようになったのですが、お母さんの意思がかなり強くないと、実際にはご家庭では改善できませんでした。



フリースクールの開始


そこで、自分がペンションを借りて、お母さんとお子さんをお泊めして、「こういうライフスタイルにするんですよ」と合宿の形式で教えるための、フリースクールを作ったんです。



フリースクールの経営難


それを3交代制で職員たちを入れて、6年間やっていたのですが、人件費だけでも赤字になっておりました。
私と主人で資財を投入して給料を払っていたので、「これは継続できないな」と考えておりました。ですが、実際にはお問い合わせが増える一方で、どうしたことかと悩んでいました。



ワークピア河口湖への出会い


その時に、高橋先生や、清水国明さんに出会って、「清水国明さんが土地」を、「高橋さんが福祉施設の設立の道」を、お力を貸していただけるっということになったんです。
それで、フリースクールを一旦休止して、このワークピア河口湖の設立を志すために、この事業をスタートいたしました。



経営する保育園での食育の活動


元々、私の保育園も30品目と言って、何でも出してあげる保育園でした。ですが、当時、やはりとても病気が多く、ひとりがインフルエンザになると、もう2週間後には、学級閉鎖寸前みたいになっていました。
また私が20歳の頃には、幼児の平熱って、だいたい37.5度以上だったんですけれど今は、35.4度とかが平熱になっていたんです。
食育を入れる前には、34.6度っていう子もいたんですよね。



保育園での食育に反対が


ですが、保育園の給食を、娘と同じ食事に変える時には、保護者から、かなりの反対があったんです。
60名の保育園なのに、一気に15名ものお子さんが辞めていったりとか、職員も「そんな変な宗教的な食事をするようなところに働くな」って親から言われて、辞めさせられたりとか、色んなことがあったんです。でも、今では空きさえあれば、引っ越してでも来たいという方が全国に待ってくださっています。
そういうマクロビオティックの給食っていうのが全国でも増えてきて、マクロビオティックの給食をやっている保育園は、テレビに取材されたところもあるみたいです。



食育で免疫力に変化が。


給食を変えることで、3ヶ月くらいで平熱は、36度以上にはなります。そして、インフルエンザのようなウィルス系には、とても強くなります。ですが、感染系は、やっぱり広がる時には広がります。
手を洗っていても、子どもは色んなものを触るので。感染系の下痢とかそういうものは広がりますけど、インフルエンザとか、夏のヘルパンギーナみたいなものは、ホントに広がらなくなりました。



食育で行動にも変化が。


私が保育士になりたての時は、1歳の頃は、噛み付く子がいるのが当たり前、噛み付いて当たり前だったのですが、ほとんど噛み付かないようになりました。
それから、キーキー泣いたりとかもなくなりました。近所の保育園では、もう保育園の3歳以上の学級崩壊が起きているみたいなんです。3歳児を座らせていられないくて、相談に来られる園長先生も多いんです。
4時間程、うちの保育園に取材に来たときも、先生の怒鳴り声ひとつ聞こえないって、言ってもらえるくらいに。



職員にも良い影響が


うちは、空調の関係で、壁の無い100坪の保育園なんです。どこかの先生が怒鳴ればすぐに聞こえるのですけど、怒鳴る必要がないくらい、みんな穏やかです。
先生たちも、うちの給食を1食、食べるだけで、ニキビがおさまったりとか、うちの保育園に来ると、体重が10kgやせる方とかもいます。
職員の病欠もとても少なくて、もちろん離職率も、よそに比べて低く、安定してくれるので、保育園でも、色んな方が見学に来られます。



知的障がい者施設や児童養護施設からも見学


あらゆる福祉施設からも見学に来られますが、理事長や施設長みずから見学に来られて、食を変えてみたいと言って帰って行きます。
わかっていただいた施設長の一人が、高橋さんです。



管理栄養士が首を縦に振らない


食育が広がっていかない原因ですが、管理栄養士が首を縦に振らないんです。玄米菜食、マクロビオティックでは、牛乳も卵も出しません。そういったものを出さなかったら、厚労省が認めないと、言うのです。
うちの保育園では、厚労省も認めるだけのカロリーやミネラル、微量栄養素などをちゃんと出しているので、そういった細かいところまで説明するのですが。とにかく玄米菜食っていうのは、子どもの育ちに良くないって言う栄養士さんが多くて、なかなか広がっていっていないんです。



食育で子どもらしさは無くならない


無邪気さはありますし、「どうして?どうして?」というようなそういうしつこさや、わがままを言ったりとか、子どもらしさはありますよ。ですが、バイオレンスな状態とか、暴言とか、親をなじるとか、そういうことが無くなっていきます。
食事だけでこれだけ育てやすくなるんだったら、もっとたくさんの人に教えてあげたいって職員一同、思っております。



大人にも影響が


また、ご主人さんで、暴言の人とかもいるんですね。ご主人さんの食事も、同じ食事に変えるお母さんとかがいると、奥さんのことを暴言とか、DV寸前みたいな方が、治まったこともあったりします。



お肉を食べない食生活に?


給食の場合は、そうですね。でも、ご家庭では食べておられると思います。昼食1食、動物性のものを無くすだけで、その時間内にデトックスが起きるので、血液もバランス的にさらさらして、とても若々しい血液になります。
ご家庭でも、野菜中心になさっているご家庭もあって、それでご主人の性格が変わったとか、ご主人がゴミを出してくれる様になったとか、それだけが原因では無いと思うんですけど、意思の疎通は良くなるって言ってもらえます。食べないっていう推進というよりは、食べ過ぎないという推進ですね。



マクロビオティックの基本的考え方とは?


歯が動物の餌を決めています。
前歯の「上4本」「下4本」の8本が、野菜を食べる歯です。
犬歯(糸切り歯)の「上下で4本」が、肉、魚を食べる歯です。
そして、奥歯、「右上5本」「左上5本」「右下5本」「左下5本」、20本が穀類を食べる歯なんですね。
奥歯と犬歯と前歯の比率は、20対4対8ですよね。これを4で割ると、7対1になります。この「1」が動物なんですよ。肉や魚を食べてもいいけれど、1:7で、7の方でご飯とか、野菜を食べていかれると、とても人間らしい状態になるっていう、それが人間の食事のバランスになります。これがマクロビオティックの基本的考えになります。



次のインタビュー >