
マンションが売れなかったらどうなる?売却できない5つの理由や対処法を紹介
マンションを売りに出してもなかなか売れない場合、築年数、立地、価格設定などの原因が考えられます。
売れない期間が長引くと、管理費や修繕積立金、住宅ローンの返済など、金銭的な負担が増えてしまいます。
そのため、マンションが売却できない原因を把握し、スムーズに売れるよう適切な対処をすることが大切です。
マンションが売れなかったらどうなる?
マンション売却に向けて行動を起こしたものの、買い手が見つからず売却できない状態が続くケースも起こり得ます。
マンション売却を検討したものの売れない場合にどうなるか、考えられる事態を5つご紹介します。
管理費や修繕積立金などコストがかかる
マンションを所有している間は、管理費や修繕積立金など維持費の支払いが必要です。
マンションが売れない期間が長引けば長引くほど、維持費として発生するコストの総額が増えていきます。
売却価値がさらに下落する
マンションに限らず、建物の価値は築年数が経過するほど下落していきます。
そのため、マンションが売れない期間が長引くと価値がさらに下落し、売却益を得られなくなる可能性が高くなるのです。
ローンの返済が滞る
マンションを売却したい理由が以下のような場合、マンションが売れないとローンの返済が滞るという懸念もあります。
- マンションの所有が金銭的な負担になっている
- マンション売却でまとまった資金を得たい
- マンション購入時に契約したローンを完済したい
マンションが売れなければ、その期間は金銭的な負担が発生し続けます。経済状況によっては、ローンの返済が困難になることもあるでしょう。
相続物件はトラブルになる可能性がある
売りたいと考えているマンションが相続物件の場合、売れない期間が長引くとトラブルにつながるリスクが高いため注意が必要です。
マンションを含め、不動産の管理はコストや労力がかかります。特に収益性が見込めない物件の場合、相続することでかえって負担となってしまう恐れがあります。そのため、不動産の相続を避けたいと考える人も多いようです。
マンションを売却して現金化し、相続人で分割する方法もあります。このような方法を「換価分割」といいます。一旦マンションの名義を相続人の代表者に変更し、売却が完了次第ほかの相続人から利益を分配する方法です。
当然ですが、換価分割による現金の分配ができるのはマンションの売却が成立した後です。マンションが売れない期間が長引けば相続税の申告期日までに現金化できず、相続人同士のトラブルにつながる恐れがあります。
マンションがすぐに売れない原因5選
マンションの売却活動を開始してもなかなか買い手が見つからない場合、マンションに何らかの原因が存在する可能性が高いです。
この章ではマンションがすぐに売れない原因として特に多くみられるものを紹介します。
マンションの築年数が古い
マンションが売れない原因として多いものの1つが築年数です。
東日本不動産流通機構(Reins)が公開している資料によると、中古マンションの対新規登録成約率は築年帯によって以下のような違いがあります。
築年帯 | 対新規登録成約率(成約件数/新規登録件数) |
---|---|
築5年以内 | 31.9% |
築6~10年 | 35.6% |
築11~15年 | 36.2% |
築16~20年 | 26.7% |
築21~25年 | 23.2% |
築26~30年 | 16.6% |
築31~35年 | 11.6% |
築36~40年 | 11.1% |
築41年~ | 13.2% |
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)-5ページ 図表5」
築11〜15年と築21〜25年では成約率に13%もの違いがあります。このデータから築年数が古いマンションは売れにくい傾向にあるといえるでしょう。
立地条件が良くない
立地条件が良くないマンションも売れにくい傾向です。
一般的に立地条件が良くないマンションとして以下の例が挙げられます。
- 駅まで徒歩10分以上かかる
- 周辺にスーパーやコンビニなどの店がない
- 周囲に街灯が少ない
- ハザードマップ上で危険性が高い
- 周辺に嫌悪施設や心理的な忌諱のある施設がある
嫌悪施設とは近隣の住民に不快感を与える、騒音・振動・煤煙・臭気などを発生させる施設のことを指します。一方、過去に死亡事件が起こった施設や墓地などの抵抗感を抱かせる施設は、心理的な忌諱のある施設に分類されます。
また、立地条件とは少し異なりますが、周辺に競合物件が多いエリアも売れ残りのリスクが高いので注意が必要です。
売却したタイミングが悪い
マンション自体に目立つ懸念や欠陥がない場合、そもそも売却したタイミングが悪いために売れなかった可能性があります。
一般的に、以下の期間は中古マンションの需要が減少する傾向です。
- 1月
- 8月
- 4~5月
1月は年始で慌ただしいタイミング、8月は暑さが厳しく内見に向かないためと考えられています。4〜5月は新生活を開始したばかりの時期のため、中古マンションに限らず不動産全体の売却需要が落ちやすい時期です。
反対に、中古マンションの需要が高まるのは毎年2〜3月頃です。新年度や新学期のタイミングで新生活をスタートする人が多いため、不動産取引が活発化する傾向にあります。
外観や共用部分の汚れが目立つ
外観や共用部分の汚れが目立っているマンションは印象が悪く、売れにくい傾向にあります。
たとえ部屋の中が綺麗だとしても、外から見える部分が汚れているとその時点で購入候補から外れてしまう可能性が高いからです。
販促活動や買い手候補とのコミュニケーションが不足している
マンションが売れなかった原因として、販促活動や購入希望者とのコミュニケーション不足も挙げられます。
販促活動が少なければ、ターゲットとなる人に物件情報が届きません。売りに出しているマンションを認知してもらえないため、そもそも購入するマンションの候補になり得ないのです。
また、問い合わせに対する返信が遅い・フォローメールをしないなどの対応を続けていると、買い手候補の興味や関心を引くのが難しくなるでしょう。
結果として、競合となる別のマンションに購入希望者が流れてしまうことが考えられます。
マンションが売れなかったときの対処法
マンションが売れない状態が長引くとさまざまなリスクやデメリットが生じます。
目安として、3カ月を超えても売れないときは早めに対処すべきでしょう。マンションが売れなかったときの対処法を5つご紹介します。
売却価格を相場より下げる
マンションが売れない状態が長く続くのであれば、売却価格を相場より下げましょう。
何らかの懸念事項があるマンションでも、相場より安価であれば売却できる可能性が高くなります。
売却価格を下げればマンション売却によって得られる収益は減ってしまいます。しかし、売却価格を下げることによるマイナス額よりも、売れない期間に発生し続けるコストの方が大きいケースもあるでしょう。
早期の売却を最優先に考えるのであれば、売却価格を下げるという手段を検討する必要があります。
不動産会社を変更する
マンション自体に目立った懸念が見つからない場合、販促活動やコミュニケーション不足も有り得ます。
また、売りに出しているマンションと、委託している不動産会社の得意分野がマッチしていないことも考えられます。
マンションが売れなかったときの対処法として、不動産会社の変更も選択肢の1つです。
ターゲット層を変更する
販促活動やコミュニケーションに力を入れていても、マンションとニーズが合わないターゲットが相手では意味がありません。
たとえば、狭めのワンルームマンションでファミリー層をターゲットにしても、ニーズはほとんどないでしょう。
販促活動やコミュニケーションを頑張ってもなかなか実を結ばないときは、ターゲット層の変更が必要な場合があります。
売却対象のマンションと現在のターゲット層が本当に一致しているか、変更するなら次はどのような層を狙うかを考えましょう。
ハウスクリーニングを行う
マンションの汚れが目立つために購入に至らないケースもあります。
特に内覧に進んだ件数が多いものの成約に至っていない場合は、内装の汚れが原因かもしれません。
このようなケースでは、清掃やハウスクリーニングを行うことで清潔感が高まり、印象改善が期待できます。
専門の業者に買取ってもらう
マンションが売れない期間が長く対処法も上手くいかない場合、専門の業者に買取ってもらう方法がおすすめです。
専門業者によるマンション買取のメリットとして以下の3つが挙げられます。
- 売却活動にかかる期間が短く済む
- マンション売却までにかかる手間や労力が少ない
- 築年数が古い・立地が悪いなど懸念事項があっても売却可能
ただし、一般的な売却方法に比べるとマンションの買取価格は安い傾向にあり、市場価格の6〜7割程度が目安といわれています。